小説メニュー

【古の記憶】-act6-

2008.03.24
【古の記憶】-act6-


「おぉ。戻ったようじゃの。」

竜が納屋へと戻って来る頃には、日は大分傾いていた。
山の上から一望する景色は、美しい茜色に染まり、薄闇に溶け始めている。
竜は、薄暗い納屋に戻ると霧の姿から、竜の姿へと戻る。
まるで見計らっていたかのように、戻ると同時に老人が入ってきた。


「童子はしかと見てこれたかの?」

顎を撫でつつ目を細めた老人に、竜はこくりとうなづいて見せた。

「どれ。やってみなさい」

老人が促すと、竜は少し考えるように首を傾け、またふわりと霧になる。
霧は形を変え、それは幼い子供の姿を取った。

薄い蒼の短い髪。白い肌。瞼を開ければ、髪と同じ薄い蒼の、ガラスのような瞳が覗いた。

「ふむ。見た目は悪くないの。・・・じゃが何故男子の姿をとる?おぬし、女子ではないか」

老人の言葉に、童子─────竜は、こてりと首を傾げた。

最初に食らった童子も、先ほど里で見た童子も、皆少年であったことを、無論人自体を見た回数の少ない竜にはわかる筈もない。

「皆、こんなだっタ。」

少し考え、竜はそう答えた。
老人は面白そうにホッホと笑う。
修正を促せないことも無かったが、少々悪戯好きのこの老人は、気まぐれでその姿でいさせることにした。

「まぁ、良かろう。うむうむ。その姿ならば、人に襲われることもあるまいて─────」

老人がそういいかけた時、不意に竜がくしゃみをする。同時に顔が、ぽんっと竜のそれに戻ってしまった。
きょとんと数度瞬きする竜を、老人は暫し唖然と眺めたが、すぐに愉快そうに笑い出す。

「流石にまだ慣れんようじゃのう。まぁ、良いわ。ほれ。そろそろこの納屋も寒くなる。
わしの庵の方へくるとええ。」

ホッホと楽しげに笑いながら踵を返す老人の後を、竜はあわてて顔を戻しながら、ついていった。



to be continued・・・・・


next≫




ご協力お願いします♪

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Comment

Comment form

チェックを入れると管理人以外は閲覧できません