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【古の記憶】-act5-
2008.03.23
【古の記憶】-act5-
老人の納屋は、人里から離れた小高い山の頂にあった。
逃げ込んだ時は夢中で、その事に気づかずにいたけれど、そういえば随分闇の中、漆黒の夜道を逃げてきた気がする。
長い下り坂を下っていき、人里にたどり着いたのは、小屋を出てから2時間ほど経過した頃だった。
人目につかない様に、霧の姿のまま、竜は日陰やがらくた、家屋の影や樹木に隠れるようにしながら、子供の声が聞こえるほうへとそろそろと進む。
やがて、村の一角で遊ぶ童子達の声が聞こえてきた。
数名の童子達は、それぞれ棒を持って、打ち合ったりしている。
楽しそうに遊ぶ童子達を、竜は不思議な気持ちで眺めていた。
あの時の様に、襲いかかろうとする気にはなれず、ただ、駆け回り、
歓声をあげ、ころころと遊ぶ子供達を、彼らが親に呼ばれて帰っていくまで、竜はじっと眺めていた。
─────童子達は何を感じていたんだろう。
─────童子達はどんな気分なんだろう。
─────打ち合っているのに恐怖の伺えない顔。
─────逃げ出しているのに恐怖の伺えない顔。
─────自分が食らった童子の上げた声とは違う『音』。
─────耳障りではない、ずっと聞いていたくなるような『音』。
─────自分と彼らの間にある、見えない『壁』。
─────あの中に加わりたい。
─────あの中には加われない。
─────自分は竜、だから。
─────自分は魔物、だから。
妙に、心の中が翳る気がする。
童子達の姿が消えても、竜は暫くそうして、遊ぶ童子達の面影をじっと眺めていた。
to be continued・・・・・
ご協力お願いします♪
老人の納屋は、人里から離れた小高い山の頂にあった。
逃げ込んだ時は夢中で、その事に気づかずにいたけれど、そういえば随分闇の中、漆黒の夜道を逃げてきた気がする。
長い下り坂を下っていき、人里にたどり着いたのは、小屋を出てから2時間ほど経過した頃だった。
人目につかない様に、霧の姿のまま、竜は日陰やがらくた、家屋の影や樹木に隠れるようにしながら、子供の声が聞こえるほうへとそろそろと進む。
やがて、村の一角で遊ぶ童子達の声が聞こえてきた。
数名の童子達は、それぞれ棒を持って、打ち合ったりしている。
楽しそうに遊ぶ童子達を、竜は不思議な気持ちで眺めていた。
あの時の様に、襲いかかろうとする気にはなれず、ただ、駆け回り、
歓声をあげ、ころころと遊ぶ子供達を、彼らが親に呼ばれて帰っていくまで、竜はじっと眺めていた。
─────童子達は何を感じていたんだろう。
─────童子達はどんな気分なんだろう。
─────打ち合っているのに恐怖の伺えない顔。
─────逃げ出しているのに恐怖の伺えない顔。
─────自分が食らった童子の上げた声とは違う『音』。
─────耳障りではない、ずっと聞いていたくなるような『音』。
─────自分と彼らの間にある、見えない『壁』。
─────あの中に加わりたい。
─────あの中には加われない。
─────自分は竜、だから。
─────自分は魔物、だから。
妙に、心の中が翳る気がする。
童子達の姿が消えても、竜は暫くそうして、遊ぶ童子達の面影をじっと眺めていた。
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