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【古の記憶】-act49-

2008.06.11
【古の記憶】-act49-


───甘い血の香り。
───引き裂いた肉の柔らかさ。
───断末魔の声。
───潤う喉。
───火照るほどの快楽───


解き放った本来の野生は、留まることを知らず、欲望のままに、命じられるがままに、ミストは町を、村を襲い、食らい尽くしていった。


───ああ、なんだ。

くつり、と喉がなる。喉の奥に流し込んだ真紅の液体はどこまでも甘く潤していく。

───なんだ。何を人に合わせていたんだ?僕は。

いつの間にか芽生えていた、人を食らう事に対する罪悪の念。
人を食らうという行為は、人の世にあっては罪悪となり、化け物と呼ばれる。

───そうだ。何を躊躇う必要がある?

その行為は、確かに人の目からは残虐な行為であっただろう。

───僕は───間違ってなど、いなかったんじゃないか。

何故なら、自分はこうして人を食わねば死んでしまうのだから。
人の行う狩とは違い、自分の狩は食う為の狩。
もしこの行為を悪とするのならば、自分はその存在すら悪のはず。
けれど、己を生み出したのは他でもない、この『世界』なのだ。


─── 一頻り、血肉を貪り、むせ返る香りに酔いしれ、長いこと飢えていた腹を、喉を満たし終えた頃。
あたりは、目を覆うような光景が広がっていた。

竜の姿のまま、その光景を一瞥する。
先ほどまで、確かにその心には高揚と快楽があった。
───が。
今、心を占めるのは、妙な不安感と、重苦しい痛み。
自分の行為は間違ってなどいない。
それでも、この光景を、血まみれの自分の姿を、あの店に集うものに見せたくないと感じていた。

絵本をせがむ、白く長い、垂れた兎耳を持つ小さな子は、それでも僕を慕ってくれるだろうか?
僕の名を呼び、駆け寄ってくる淡い茶の髪の少女は、まだ僕に飛びついてくれるだろうか?
僕が撫でる手を心地良さそうに受けてくれる、あの人狼は、触れさせてくれるのだろうか?

利用するつもりだったあの場所を、何時しか、心地よいと感じていたことに愕然とする。



───戻ってみて、もしも。
もしも、あの場に受け入れられなければ・・・。
また、彷徨えば良い。人を食らう、『バケモノ』として。
アシェスナーダの創世記のままに、女神が願ったままに。
大いなる意思の、赴くままに。

ゆるりと首を振ると、ミストは翼を広げ、荒廃した町を後にする。

あの、欠片の世界を目指して───



to be continued・・・・・


next≫

ご協力お願いします♪


  ◇

PLあとがき

わかる人には判るんでしょうか?
長い垂れ耳うさのちみっこ=るお
薄茶の髪の子=カガシャ
人狼=レノス

ですw

それぞれのPLさん、お名前お借りしましたーっ。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

タグ : ファンタジー 小説

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Comment

No title

やさぐれ蒼さん状態ですかw

これから舘の真価がはっきされますね
種族のサラダボールw

No title

華へ>
こくこく♪
ミストの葛藤、蒼の存在、上手く表現できるといいなーっ。
ぼちぼち姫も登場する時期になってきましたっ。
名前、借りるねっ♪

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