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【古の記憶】-act47-
2008.05.31
【古の記憶】-act47-
その日から、カウンターに立つようになったミストは、暇つぶしにレニの残したレシピ帳に目を通し、棚に並ぶ酒の種類を覚え、細かく詳細をメモするようになった。
押し付けられたのだから、何もそこまでする必要は無いのだろうが、元々好奇心旺盛で、学ぶことが好きな竜にとっては、それも遊びの一環だった。
店に立ち始めて、数日後には、すっかりその姿は定着をする。
気さくに声をかけてくる客。他愛も無い雑談。
自分の名を親しげに呼ぶ者。
中には満面の笑みを浮かべ、飛びついてくる子供までいる。
相変わらずその表情に感情の色が浮かぶことは無かったが、それでもわずかに柔らかなものになっていたようだ。
いつの間にか、彼女自身の口数も増えているようだった。
その店には時折、客ではない、助けを求めるものが飛び込んできた。
いつの間にか、店の空気に感化されたのだろうか。
ミストがその声に手を差し伸べるようになるまで、そう時間は掛からなかった。
扉が勢い良く開かれた。バン!というけたたましい音と共に、傷だらけの男が一人飛び込んでくる。
「・・・イラッシャイ。大丈夫?」
男の様子に、いつもどおりお決まりのセリフを唇に乗せたミストは、男の様子に言葉を変えた。
同じように扉の音に驚いたかのような客が、男へと視線を向ける。
ヒーラーの能力を持つ客が駆け寄り、男に手当てを施した。
「た・・・助けてください!!村が・・・村が!!!」
男の手が、傍にいたミストのローブの裾を掴む。
「・・・何があったの?落ち着いて話してごらん。」
腰を落とすと男を支えるようにして、傍の席まで誘導し、座らせる。
ミスト同様に店員となったウエイトレスの少女が、急いで水を運んできた。
男はポツリポツリと口を開く。
村に突然ゴブリンの群れが襲いかかり、数名の村人がその牙に掛かってしまったとの事。
よくある話だ。
「ん。判った。場所は何処?」
「ミスト。行くのか?」
ミストの声に反応したかのように数名の客が立ち上がる。
ミストが1つ頷くと、彼らはそのままミストに従うかのように背後に立った。
面白い連中だ。
ふわりとローブを揺らし、一言、「行くよ。」と声を掛ける。
そのまま店の扉を潜ると、示された村へと向かった。
相手がコブリンだったせいか、さほど苦もなく駆除を終える。
───が。
ミストの表情は浮かなかった。
というのも、俄仕立てのパーティーのせいか、統率というものが全く感じられなかったのだ。
危うく味方の攻撃でダメージを負いかねる場面も何度かあった。
危なすぎる。
魔物の立場から言えば、この手のパーティー程楽な相手は無いのだ。
前衛ががむしゃらに突っ込んできてその背後で援護をする者がいる場合、先に援護をしている者を倒せば一気に崩れる。
元より援護を主とする者は、大抵前衛程の強さを持たないものだから。
いつの間にか、「人側」に立っている、彼らを『仲間』と見ている自分に苦笑も覚えたが、それでも。
ふと湧き上がった感情を打ち消すかのように、ミストはそっと首を振った。
───気まぐれさ。ただの。───
そう。これは遊びだ。気まぐれの『オナカマゴッコ』。
飽きるまでは、付き合ってやれば良い。
それに───
仲間と認識をさせれば。彼らは自分を狩ることは出来やしないだろう。
この日から、ミストはしばしば冒険の依頼に同行するようになる。
そして、味方の統率に勤める様、指示を出し始めたミストに、彼らが信頼を置くようになるまで、
時間は掛からなかった。
to be continued・・・・・
ご協力お願いします♪
その日から、カウンターに立つようになったミストは、暇つぶしにレニの残したレシピ帳に目を通し、棚に並ぶ酒の種類を覚え、細かく詳細をメモするようになった。
押し付けられたのだから、何もそこまでする必要は無いのだろうが、元々好奇心旺盛で、学ぶことが好きな竜にとっては、それも遊びの一環だった。
店に立ち始めて、数日後には、すっかりその姿は定着をする。
気さくに声をかけてくる客。他愛も無い雑談。
自分の名を親しげに呼ぶ者。
中には満面の笑みを浮かべ、飛びついてくる子供までいる。
相変わらずその表情に感情の色が浮かぶことは無かったが、それでもわずかに柔らかなものになっていたようだ。
いつの間にか、彼女自身の口数も増えているようだった。
その店には時折、客ではない、助けを求めるものが飛び込んできた。
いつの間にか、店の空気に感化されたのだろうか。
ミストがその声に手を差し伸べるようになるまで、そう時間は掛からなかった。
扉が勢い良く開かれた。バン!というけたたましい音と共に、傷だらけの男が一人飛び込んでくる。
「・・・イラッシャイ。大丈夫?」
男の様子に、いつもどおりお決まりのセリフを唇に乗せたミストは、男の様子に言葉を変えた。
同じように扉の音に驚いたかのような客が、男へと視線を向ける。
ヒーラーの能力を持つ客が駆け寄り、男に手当てを施した。
「た・・・助けてください!!村が・・・村が!!!」
男の手が、傍にいたミストのローブの裾を掴む。
「・・・何があったの?落ち着いて話してごらん。」
腰を落とすと男を支えるようにして、傍の席まで誘導し、座らせる。
ミスト同様に店員となったウエイトレスの少女が、急いで水を運んできた。
男はポツリポツリと口を開く。
村に突然ゴブリンの群れが襲いかかり、数名の村人がその牙に掛かってしまったとの事。
よくある話だ。
「ん。判った。場所は何処?」
「ミスト。行くのか?」
ミストの声に反応したかのように数名の客が立ち上がる。
ミストが1つ頷くと、彼らはそのままミストに従うかのように背後に立った。
面白い連中だ。
ふわりとローブを揺らし、一言、「行くよ。」と声を掛ける。
そのまま店の扉を潜ると、示された村へと向かった。
相手がコブリンだったせいか、さほど苦もなく駆除を終える。
───が。
ミストの表情は浮かなかった。
というのも、俄仕立てのパーティーのせいか、統率というものが全く感じられなかったのだ。
危うく味方の攻撃でダメージを負いかねる場面も何度かあった。
危なすぎる。
魔物の立場から言えば、この手のパーティー程楽な相手は無いのだ。
前衛ががむしゃらに突っ込んできてその背後で援護をする者がいる場合、先に援護をしている者を倒せば一気に崩れる。
元より援護を主とする者は、大抵前衛程の強さを持たないものだから。
いつの間にか、「人側」に立っている、彼らを『仲間』と見ている自分に苦笑も覚えたが、それでも。
ふと湧き上がった感情を打ち消すかのように、ミストはそっと首を振った。
───気まぐれさ。ただの。───
そう。これは遊びだ。気まぐれの『オナカマゴッコ』。
飽きるまでは、付き合ってやれば良い。
それに───
仲間と認識をさせれば。彼らは自分を狩ることは出来やしないだろう。
この日から、ミストはしばしば冒険の依頼に同行するようになる。
そして、味方の統率に勤める様、指示を出し始めたミストに、彼らが信頼を置くようになるまで、
時間は掛からなかった。
to be continued・・・・・
ご協力お願いします♪
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