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【古の記憶】-act46-

2008.05.27
【古の記憶】-act46-


その酒場に通うようになって、何日か過ぎた日の事。
その日は、ほんの気まぐれに いつもは深夜になってから訪れるその場所に、まだ日の高い時間に足を運んだ。

窓際の風の通る席で、ゆったりと紅茶を楽しむのも良さそうな昼下がり。
趣味と化した古い本を片手に店の扉を潜れば、一瞬にして空気をぶち壊すやたら元気な声が飛び込んできた。

「あーーー、ミストさん!!ちょうどよかったですーーっ♪」

思わず足を止めたミストに、半ば掴み掛かりそうな勢いで駆け寄ってきたのは、この店の主。
耳に翼を頂く、レニという名の少女だった。

「・・・何。」

勢いに気おされる様に、ぼそりと呟いたミストの声を対象に、レニの表情は真夏の太陽の様に満面の笑みと有無を言わさない勢いを持ち、ミストの言葉を半ばさえぎる様に一気に言葉をつなぐ。

「よかったーっ♪ボク、これからちょっとお出かけしなくちゃいけないんですっ。お店、空けてないとお客さん困ってしまうでしょうし、まだ店員ボクしかいないんでどうしようかと思ってたんです♪申し訳ないですけど、ミストさんお店の番、しておいていただけます?それじゃボク、急いでますんで後よろしくですぅーっ♪」




・・・・は?

何を言ってるんだこの娘。
誰に何をしろと?
思わずきょとんとするミストを尻目に 言うだけいうと、羽耳娘はミストの脇をあっという間にすり抜け、ミストが返事をする余裕もなく 振り返ったときにはすでにその姿は遥か遠方に走り去った後だった。

ぽつねんと取り残されたミストは、暫しぼんやりその後ろ姿を見送る事になる。
何がどうしてどうなったんだ?
強制的に押し付けられた店番を、そのまま無視する事も可能ではあるが、何故かそのまま無視しては、此方が悪い気がするのは何故だろう?

がっくりと項垂れ、思わずため息をついたが、幸い店に人影は無かった。
さほど親しいわけでも無い客にこんな簡単に店番を任せて良いのか?
もし、そのまま館の中のものを片っ端からかっぱらって逃げたらどうするつもりなのだろう?
そもそも、他に店員がいない状況で、客に何を出せと?

ぐだぐだと考えては見るが、文句を言う相手はすでに消えた後だ。
勝手にカウンターの中に足を踏み入れると、流しの脇に1冊の分厚いメモが置かれている。

『れしぴ帳♪』

コロコロとした丸い文字でそう書かれていた。

・・・ご丁寧な事で。

額を押さえつつ、ミストはそのレシピ帳を広げ、そこに書かれていたやり方そのままに、湯を沸かし、茶を入れる。ぴったり時間を計り、心地よい香りの立ち上るカップを持つと、当初の予定通りに窓際の席へ腰を下ろした。

夜の喧騒と打って変わったそこは、まだ此処が店になる以前の一人きりの静けさに包まれている。
渡る風と、遠くで聞こえる鳥のさえずりが、心地よかった。
埃まみれだったあの場所では味わえなかった心地よさだ。
これはこれで、良いのかもしれない。

貸切状態の店に、客が訪れたのは、それから僅かに時が経過した頃。
レニはまだ戻ってきては居なかった。

どうするか。
客に視線を送り、ほんの一拍の間、考えてみたが、結局ミストは席を立ち上がる。

「───イラッシャイ。注文はある?」


to be continued・・・・・


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ジャンル : 小説・文学

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Comment

No title

ミストが店番www!!
い、行きたいっwwww

No title

昔は店員頭だったのですよーw
うちのミストさんw
ちなみに今のサイトには寡黙なマスターさんがいることになってます♪
気が向いたら本家のchat覗いてみてくださいなw
ミストとかセフィードとかがうろうろしてたりしてますw

No title

ひさびさにその言葉をききましたーw

なんかなつかしーw
これからどたばた珍騒動が目白押し?(笑)

No title

華ーっ☆(きぅっ)
ぅん、自分で書いてても懐かしかったww(ぁ)
姫も出させてもらうからねーーww(ぉ)

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