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【古の記憶】-act45-

2008.05.25
【古の記憶】-act45-


店の中には数名の客が各々思うがままに語り合っていた。
こんな場所に、客など来るのか。
店内にいた客達は皆、ミストの顔を見るや、気さくに挨拶を投げてくる。
妙な店だった。
初対面だというのに、まるで見知った相手であるかのように話しかけてくる客。
いきなり名を名乗り、よろしくと握手を求められた。

差し出された手に暫し視線を落としていたミストには、それの意図するところが読めない。

「・・・何故ヨロシクしなくちゃいけないわけ?」

人間などと何故なりあう必要がある?
自分の居場所をこうして奪い去ろうという人間などと。
それに便乗する卑しい種族共と。
内面に渦巻くどす黒い感情は、その表情に表れることはない。
冷たい、彫像の様な面を相手の視線へと移した。
そこにあったのは屈託のない笑み。

ふと、幼い頃を思い出す。
自分の正体を知らずにいた、店の男もこんなだった。
所詮自分が魔物であることを知れば、この男の顔も驚愕に歪み、蔑み追い出そうと武器を持つに違いない。

「何でって、折角出会えたんだ。何かの縁かもしれないだろう?」

それ以上会話をするのも馬鹿らしい。
適当に軽く男の手を握ると、すぐにその手を解く。
勝手にやっていろ。
自分には関係のない事。


なのに。
その手の感触も、その店内の雑談も、何処かミストの心をひきつけていた。

気まぐれだ。
ただの。
他に理由などない。
自分は、独りでいい。

恰も自分自身に対する言い訳の様な事を思いながら、その日からミストはその店に通うようになった。



そこは妙な店だった。
人ならざる者。異形の者。そんな客が多数訪れる。
店主は、耳の位置に翼をいただく、まだ17,8の少女だった。
酒場かと思っていたが、まだよちよち歩きの小さな子供まで店の中を走り回っている。
血塗れた異形の傭兵が酒を酌み交わし、床板を持ち上げ入ってくる客や酒樽から唐突に沸いて出る客がいても、まるで『日常だ』とでも言わんばかりに皆平然としていた。

構われるのが面倒になり、霧の姿でミストが店の中に現れても、驚くのは極数名のみで、他は笑みを浮かべ気さくに挨拶を投げかけてくる。

いつしかミストは、その店に妙な居心地の良さを感じるようになっていた。



to be continued・・・・・


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タグ : ファンタジー 小説

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Comment

No title

ミストが居心地の良さを感じるとは。
何が起きてもおかしくない雰囲気。
……わくわくしてしまうのは私だけでしょうか?(笑

No title

暫くやさぐれてますがww
この先は、僕のやってるサイトの中での出来事になるんですけど、ぶっちゃけ魑魅魍魎の巣窟でした(ぇー)

(ちなみに今のサイトもそげな)(オイ)

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