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【古の記憶】-act44-

2008.05.22
【古の記憶】-act44-

───館に近づくにつれ、妙な感覚が支配していく。
それはこの世界にはなかった筈の匂いと気配。

『ニンゲン』とそれに近しい種族のものだ。
表情の浮かばなくなったミストの眉が、ほんの僅かに顰められる。


この世界にまで、踏み込んできたのか。

ミストの足は自然と速くなり、やがて森の向こうに、あの館の屋根が見えてきた。
ガサ、と茂みをかきわけ、館にたどり着いたミストは愕然とする。

そこには、すっかりと手入れをされ、見違えるほどに全盛期の姿を取り戻した、あの館の姿だった。
入り口の門は取り除かれ、館に通じる石畳には、小さな木の立て札が立っている。

『幻想夢現館』

───宿屋?
ミストの表情が更に険しくなる。
愚かなことを。
この人の居ない世界に、宿屋など、何の意味があると?

僅かな苛立ち。
ほんの少しの興味。

ミストは、ゆるりと慣れしんだ筈の、けれどもその姿を変えた、そして───
これから己の運命を変える、その館の扉へと向かった。


to be continued・・・・・


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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

タグ : ファンタジー 小説

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