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【古の記憶】-act41-

2008.05.16
【古の記憶】-act41-
-side mist-


───恐らく、人間以外の全ての生き物は、その神の話を知っている。
命の螺旋に組み込まれた情報。
それ故に、動物たちは己の身を守るため、人という生き物を恐れ、力ある動物は生き延びようとあがらう。
弱い生き物は、従うことで身を守る。
そして創られた自分たち竜を含む魔は、人を食らうように作られた。

───が。

人間たちに与えられた情報は、全く逆のものだった。
アシェスナーダはこの地に落され、何も知らず人の中の生き神として生を受けたらしい。
皮肉にも、彼女は『魔』について誰よりも知っていた。
・・・当たり前だ。『魔』は彼女がこの世界を守るために創りだしたものなのだから。


───古い誰かの手記を、静かに閉じた。
そこは誰かの研究室のような場所だった。


「───やはり此処はグリンデルの名残か。
気になるのはこの手記に出てきた『鏡』って言葉。
これの意味を知っている?」

軽く手記を振って、ミストは後ろを付いて回っていたファゥリータァルを仰いだ。

「アシェスナーダ神は、世界を構成した時に、重なり合うもう一つの世界を作ったと言われているわ。
それは丁度鏡の表と裏のように。
表裏一体の世界が存在するといわれているの。
泉の中や鏡に映る姿が、もう一人の自分だって。
ただの御伽噺として伝えられていることよ。」

「御伽噺、ね・・・。」

この研究者は、その御伽噺を信じていたんだろうか?
丁度あの日、隕石がグリンデルに落ちた時、この科学者は、魔力によってその鏡の世界へと逃げる計画をしていたらしい。
結局その術も見つからなかったようだが。

「悪いことをすると、その鏡の世界からもう一人の自分が現れて、殺しにくるのだそうよ?
怖いわね。」

くすくすと可笑しそうにファゥリータァルが笑う。
つまるところ、親が子供を脅かす為に作り出した迷信といったところか。
さして興味もなさげに、ミストは軽く肩をすくめると、ポィ、と手にした手記をテーブルの上に投げ出した。

「異世界に移動できるシステムと、攻撃を無効化するシステム・・・。
それがあの館には備わっているというわけだ。
それだけ判ればもう、此処にも用はないさ。
グリンデルは滅びた。それは紛れもない事実だよ。
神話の内容や鏡の話も、もはや意味を成さない。
この残骸の世界では、ね。」

何処か、何かを断ち切るかのように。
ミストはその部屋を後にした。


to be continued・・・・・

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Comment

No title

読んでると、ミストの性別忘れちゃいますw
まあ、本人にとって性別ってあんまり関係ないんでしょうけどね。

No title

いき♂様

何気に男の子にしか見えない女の子ってすきなんですよねー♪
関係なさそうに見えて、これで胸の事気にしてたりとか、案外女の子な面もあったりするんですよw

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