小説メニュー

【古の記憶】-act35-

2008.05.08

【古の記憶】-act35-


世界の構築が始まった。
彼女の涙の雫は海となり、吐息は風となった。
彼女の血を受けた世界の核は、やがて表面が冷えて固まり大地に変わる。
彼女の生命を受けた大地は、やがて小さな命を目覚めさせた。

水は雲を作り、緑が息づく。
大地は海を隔てる陸となり、陸は美しい緑に覆われた。
色とりどりの色彩を持つ鳥が舞い、獣は命を育む。
海の中には宝石の様な魚が舞い、風は陸を渡り、種を運び、大地を潤す。

そうだわ。統べる者を生み出しましょう。
風を。大地を。水を。炎を。光を。影を。
そうして、それぞれがそれぞれを育むように。

少しずつ。少しずつ。
長い年月をかけ、世界は構成されていった。
ずっとずっと、気の遠くなる歳月を、望んで焦がれたアシェスナーダの、その深い愛情に包まれた世界は、さながら命を持つ宝石の如く、生き生きと輝き、彼女の思い描くまま、新世界に生まれ変わっていった。

全てに意思が与えられ、それは精霊となり、各々が与えられた役目を愛し、世界は均衡を保つ役割となる。バランスの取れた揺ぎ無い世界。
それは、ナタシーアを凌ぐ程の出来栄えで、アシェスナーダはこの上ない満足感で満たされていた。

触れれば触れた分だけ、美しく成長をするその世界に、彼女の中で、欲が芽生え始める。


もっと。
もっと、もっと───

『力』が欲しいわ。
ナタシーア姉様の様に、沢山の『力』をこの世界に注げば。
もっと豊かな世界になるわ。
もっと美しい世界になるわ。



それは、ほんの出来心。

少しだけ。少しだけなら、気づかれない───
湧き上がった欲望は、その理性も、罪悪感も、それが齎す未来も。
アシェスナーダから、奪い去ってしまった。


───もっと美しい世界になるわ。
自らの生み出した世界に、自らが魅入られていることに、まだ、気づかぬままに。



to be continued・・・・・

next≫



ご協力お願いします♪

タグ : ファンタジー 小説

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Comment

No title

そ、そうか……。
それが、父上が禁止した理由なのですね……。

No title

ですですw
もうちょこっとで本編に戻ります〜
がんばろーっと♪
いき♂様、いつもコメ、有難うですw
めっちゃ励みになりますw

Comment form

チェックを入れると管理人以外は閲覧できません