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【古の記憶】-act34-

2008.05.07
 
【古の記憶】-act34-


期は熟した。
アシェスナーダは、部屋の隅に隠していた世界を取り出すと、少しずつ、その世界を無に戻していった。
その作業は、まるで絡み合った蜘蛛の糸を解く行為にも似て、酷く時間も必要としたが、毎日、短い時間のみ その作業に集中することで、無事に父や姉に気づかれることなく、やがてその世界は無へと戻る。

真っ白な───それは恰も真新しいキャンバスにも似ていた───世界を前に、アシェスナーダの心は、ドキドキと高鳴り、頬は桜色に染まる。
1度に手を加えられるのは、ほんの少しだけ。
それでも、アシェスナーダには十分だった。

「先ずは、何からはじめようかしら・・・。」

愛しい世界を、優しく撫でる。

世界は、それぞれ他の世界へと影響を及ぼす。
姉達の世界に影響を及ぼさないように、あの混沌の中に捨てられた『力』だけしか使うことはできない。
言わばガラクタの山から、使えるものを拾い上げて、その材料で世界を作らなくてはいけないのだ。
世界から取り外したその『力達』は、空間にふぅわりと浮かんでいた。
アシェスナーダは、そこから真紅の輝きへと指先を当てると、真新しい世界の中心へ、点を穿つ。
自らの指先を噛むと、滴る血を1滴、その点の上にたらした。

「先ずは中心から・・・。脈動する炎の力。」

世界の中心に落ちた真紅の輝きは、胎動するように輝きを生み出す。
この日は、これだけ。

翌日には、琥珀色の輝きを。その翌日には、青の輝きを。
毎日、1つずつ、その世界に輝きを落としていく。
毎日、その世界へと語りかけて。

ノユーエルの作ったそれとは違い、普段からナタシーアの部屋へと足を運んでいたアシェスナーダのその世界は、余計な混ざり物がない為に、すぐに力を吸収し、成長を始める。

僅かな時だけ、その作業へと集中し、通常ははやる気持ちを抑え、今までどおり姉の部屋へ出向き、父へねだり、花を摘んだり、綺麗な小石を集めたり、普段どおりの生活を続けていく。

やがて、その何もなかった世界に、陸ができ、海が生まれ、風が凪ぎ、炎が大地の底で脈打ち、世界の基盤が、出来上がっていた。
まだ、木も草も動物も何もない世界。

此処から、何を生み出すか。どんな世界へと作り上げるか。
それは、アシェスナーダの思い1つだ。


姉や父は、まだ気づいている様子は、なかった。

此処からが、本番だ。
アシェスナーダは高鳴る胸を押さえつつ、そっとその世界に手を触れた。

「私の作る世界は──────」
歌うように、小さく。アシェスナーダは、イメージを描き始めた。



to be continued・・・・・


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Comment

No title

こんな風にじっくりと作られた世界には、なんだか優しさが満ちあふれていそうな気が……♪

No title

ぅふ♪
毎回コメ、ありがとうございますーww
上手く世界の景色やらを、表現できるといいんだけどtt
がんばろぅっ(ぐ!)

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