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【古の記憶】-act33-

2008.05.05
 
【古の記憶】-act33-



数日の間、アシェスナーダがその世界に手を触れることは無かった。
いくら捨てたものとはいえ、すぐに動いてしまっては、無頓着なノユーエルは兎も角、父やナタシーアなら、自分が『世界』を手に入れた事に気づいてしまうだろう。
だから。

皆の記憶から薄れるまで、アシェスナーダは、じっと時を待っていた。

その間、無論罪悪感の欠片も無かったわけではない。
認められていないものが世界の創造を手がけることは禁忌とされているのだ。
あの世界を手に入れた当初、アシェスナーダは、何度か父の元へ足を運んだ。
もし、父が認めてさえくれれば、堂々と世界の創造ができるのだ。

「ねぇ。父様。私も世界の創造をしても良いでしょう?ノユーエル姉様の様にはならないわ。私なら、きちんと世界を作れるわ。ねぇ、だから───」

「まだ駄目だ、末の娘よ。」

全てを言い切る前に、父は低く通る、静かな声を紡ぐ。
それは有無を言わさぬ響きがあり、アシェスナーダは思わず怯んだ。
けれど。
もう、十分過ぎるほど自分は待ったのだ。

「でも───」
「駄目だ。」

会話にすらならない。
アシェスナーダは、頬を膨らませると、父の元を後にした。




「───だから、無くしたと言っているではないの!」

不意に大きな声が響き渡り、アシェスナーダはびくりと肩を竦ませた。
声の主は、ノユーエルだ。

「───無くしたでは困るわ。ノユーエル。貴女、これで何度目?では、前に作った物はどうしたの?」
「覚えていないわ。もう随分と前だもの。大丈夫だと言っているでしょう?前に作った世界など、もう何も残ってなど居ないわ。あるのは混沌だけよ。何れ朽ちて消えるわ。新しい世界できちんと調整は取るのだから、そうぎゃんぎゃん言わないで頂戴。ナタシーア姉様」

声はノユーエルの部屋から響いている。
交わされる会話に、アシェスナーダは心臓が凍りつきそうになったが、予測どおり、ノユーエルは、気にも留めていないようだった。実質この手の状況は、珍しくともなんとも無いのだろう。
大好きなナタシーアの困ったような声には、流石に胸が痛んだが、誘惑には勝てなかった。

二人の口論を背中で聞きながら、アシェスナーダは自室へと戻る。
扉を閉めれば、大きく息を吐き出した。

当分の間、自分は今までどおり、父に、姉にねだることにしよう。
ナタシーア姉様のお説教が消えて、ノユーエル姉様が新しい世界の作成を始めたら。
自分も世界を作ろう。
あの世界は1度無に返して、それから。
大丈夫。『滅びの種』なら、必要ない。
あの世界の生命が皆無に帰るのは、ほんの瞬き程度の時があれば十分だ。
作り始めても、今までどおり、おねだりは続けて。

大丈夫。きっと上手くいくわ。

───計画は、動き出した。


to be continued・・・・・




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Comment

No title

末娘の計画。
どきどきするけど、わくわくしちゃいますね♪♪

> ナターシア姉様のお説教が消えて、ノユーエル姉様が新しい世界の作成を始めたら。
あの、その……
もしかして、ナタシーア姉様では?

No title

にゃぁああぁ;;
恥ずかしすぎる;;;
も、ほんと駄目すぎだぁああぁぅ><;

ナタシーアがせいかーいorz
ごめんねいき♂様、すっかり僕の校正要員にしちゃってる気が〜〜〜(滝涙)

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