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【古の記憶】-act26-
2008.04.24
【古の記憶】-act26-
-side-mist-
「すっかり傷も癒えた様ね。」
慣れた手つきで、ミストの傷を手当てを終えたファゥリータァルは、これまた何時もと同じ、
のほりんとした声で、笑みを湛えたままの視線を、彼女の白い肌へと落とした。
まだ生々しく残る傷跡は、薄い桜色の新しい皮膚へと再生している。
「ん。もう痛まない。」
服を直しつつ、ミストは1つ頷いた。
此処で目覚めた時に比べ、その表情は穏やかで落ち着いている。
掴みどころが無い点を除いて、ファゥリータァルは自分に害があるようには見えないのと、少なからず恩人であることは間違いが無い。
たった数日の間に、ミストの警戒は、かなり薄れていた。
我ながら単純だと思わないことも無かったが、警戒し続けることは、精神的にも疲労を伴う。
おまけに相手が、こう のらりくらりとしていては尚の事。
何時までも、此処に居座る理由も無くなったミストは、そのまま彼女に疑問を全てぶつけてみることにした。
いつものように かわされるかもしれないが、それならそれで仕方の無いこと。
聞かずに居たら、気になって仕方が無かっただろう。
それと同時に、彼女に対する興味でもあった。
「ファゥリータァル。
白の眷属と言うのは、花の精霊の様なものだと言ったね。
真名がラベンダー、つまり君はラベンダーの精霊ってところかな?
僕の真名を知っていた事、僕の考えを読み取ったとしか思えない発言・・・。
今度はとぼけずに答えてはくれないか?」
真っ直ぐな視線を、ファゥリータァルの赤い瞳へと向ける。
自分の姿が、その瞳へと映るのが見える。
笑みはいつものそのままに、ミストの顔へと視線を移した彼女が、ゆっくりと口を開く。
「・・・あら。とぼけて等居ないわ?」
───結局、答えてはくれないのか。
そう ミストが小さくため息を零すのと、ほぼ同時に。
ファゥリータァルの言葉が、静かに続く。
「白の眷属と呼ばれるのは、実質、私一人よ。
私は洞窟の中で、一人で目覚めたわ。
暗い洞窟の中で生まれたから、私には色素が無いの。
でも、そんな環境で生まれたせいで、私は他の植物の精霊よりも、強い力を持っていたわ。
こうして、人の姿を取ることも、話すことも出来るようになったわ。
たくさんの植物達は、私の声を聞き、私と友達になってくれた。
だから、彼らは私の言葉に従ってくれるの。
草花を自由に操る私の姿を見て、人が私を白の眷属と名づけた、それだけのことよ。
植物は、言葉を持たないから、心が発する声を聞くわ。
私は、その力が強いの。
だからあなたの名も知れたわ。
私と同じように、人の姿に化けて人に交わるあなたに親近感を覚えたの。
だから、助けようと思ったわ。」
静かに笑みを向けたまま、言葉を紡ぐ彼女に、ミストは少々面食らった。
彼女の瞳からは、嘘の色もからかう様子も見ては取れない。
「・・・何故、急にまともに話す気になった?」
「あら。あなたが尋ねたからじゃないの。
でも、そうね。傷も癒えたし、あなたはまた、此処を出て行くのでしょう?
私は、あなたが気に入ってしまったの。
だから、これだけの縁で終わらせたくなかったのかも知れないわ?」
ふと、ミストの口元に、小さな笑みが浮かぶ。
同じ異形と知ったせいかもしれない。
それとも、自分も同じように、何処か掴みどころの無い彼女を、気に入ってしまったせいかもしれない。
「・・・ふん。まぁ、此方は助けてもらった身だし、ね。
借りを作ったままというのは、竜のプライドが許さない。
何かあった時は、呼ぶといい。・・・・力を貸そう。」
よもや、このセリフが、後々まで彼女との腐れ縁へと繋がろうとは、この時ミストが知るはずも無かった。
to be continued・・・・・
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Comment
No title
おおう。
興味をそそる伏線が……!
興味をそそる伏線が……!
No title
ファゥはいまだに付き合いの残ってるキャラだったりw
なりちゃで時々ふらっと出てきてるんですよねw
物語にも、登場する予定ですw
なりちゃで時々ふらっと出てきてるんですよねw
物語にも、登場する予定ですw
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