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【古の記憶】-act22-

2008.04.19

【古の記憶】-act22-
-side-mist-


───ヒタリ。
触れたそれは、何だったんだろう。

───ヒタ。
頬を滑る、冷たい感触。

───ヒタリ。


──────ああ、そうか。
僕は射抜かれたんだったっけ。
また、囚われたんだろうか。
・・・また?

ゆるゆると、意識が闇の淵から戻ってくる。
己の思考に浮かんだ言葉に、竜の娘は小さく首を傾けた。
意識が戻るに連れて、ズキリ、ズキリと脈打つような痛みが戻ってくる。
同時に湧き上がる、痛みによる吐き気。

触れるその感触が、誰かの手だということを把握する前に。
無意識にその手を払いのけた。

「───あら。酷いわ?折角介抱してあげていたのに。
竜と言うのは、恩知らずなわけではないのでしょう?」

のほほーん。

そんな擬音がぴったりと当てはまるような、ほんわかとした女性の声が耳に届く。
竜?
竜と呼んだか?今。

ガンガンと割れそうに痛む頭と、腹に残る激しい痛みの中、ミストは重たい瞼を上げた。
ぼやける視界の中、瞳に写った相手は、年の頃、20歳前後だろうか。
白い───それは雪か紙のような白さの肌と、同じように真っ白な、腰よりも長いさらりとした髪。
穏やかな笑みをたたえたその瞳は、透き通った紅玉色。

少なくとも、彼女の記憶の中にはない女だった。

女の言葉に、自らの体へ視線を落とす。
確かに、その体には包帯が巻かれ、あたりに立ち込めるのは、薬草の独特の香り。

質素な、小さな小屋の中には、ベッドの向こう側に竈が見えて、コトコトと鍋が鳴っていた。

「───此処は・・・?」

「私の小屋よ? 危なかったわね。つかまっていたら、貴女皮毎剥がされて、売られてたわ。」



───セリフの殺伐さにそぐわない、まったりと、のほほーん、っとした声で。
白い白い女は、警戒心の欠片もない笑みを、まだ、警戒は解かないままの竜の娘へと向けた。


to be continued・・・・・



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