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【古の記憶】-act19-
2008.04.14
【古の記憶】-act19-
-side-mist-
一通り、その世界を見て回ったミストは、ある事に気がついた。
それは、森の至る所に見かける空間の歪み。
それは陽炎の様に、木漏れ日の様に、木々の間で揺らめいている。
丁度、彼女がこの世界に足を踏み入れたその時に見たあの歪みによく似たものだった。
もしや、あれも時空の歪みなのだろうか?
好奇心から、彼女の足は自然とその歪みへと向けられていた。
サァ、と風の流れる感覚と、不意におぼろげになる大地を踏む感覚。
軽い眩暈にも似たそれが過ぎると、彼女の目の前には
町の賑わいが広がっていた。
振り返れば、小さな雑木林。
どうやらそこがこの世界の入り口となっているようだった。
ミストはゆっくり、その町の中を歩き出す。
色とりどりのテント。
威勢のいい掛け声。
軒に無造作に並べられた武具。
不思議な色を放つ魔道具。
良い香りの果実────
その中で、彼女の目に、ふと飛び込んできたのは
古道具屋の片隅で埃を被っている1つの竪琴だった。
その竪琴は、銀細工が施され、手にすると、それはしっくりと手に馴染む。
竪琴のその鈍い輝きは、まるで彼女が手に取るのを
待っていたかの様だった。
ふんわりと口元に笑みが浮かぶ。
迷うことなく、ミストはその竪琴を手に、店主へと声をかけた。
銀貨1枚。
格安のそれは、その日から、ミストにとってお気に入りの道具の1つとなった。
to be continued・・・・・
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